プラスチック製ティーバッグ
100億超のマイクロプラスチックが紅茶の中に
カナダの研究チーム
高級な紅茶に使われているプラスチック製ティーバッグから、何十億もの「マイクロプラスチック」が放出される可能性がある――。環境と技術の米学術誌「Environmental Science and Technology」に発表された最新の研究結果で明らかになった。
一般的なティーバッグのほとんどは紙製だが、一部の高級ブランドはプラスチック製のものに移行している。
そこでカナダ東部ケベック州モントリオールのマギル大学の研究チームは、プラスチック製のティーバックに入った、一般に流通している紅茶4種類を使い、実験を行った。
研究者は、紅茶を抽出する時と同様に、茶葉を取り除いた空っぽのティーバッグを95度のお湯の中に入れた。
すると、ティーバッグ1袋あたり、約116億のマイクロプラスチックと、31億のナノプラスチック(マイクロプラスチックより千倍小さい粒子)がお湯の中に放出されていることが分かった。こうした粒子は肉眼ではまったく確認できない。
「ティーバッグから放出された粒子」の量は、過去の研究で明らかになった、食品に含まれる量よりも桁違いに多い」という。
研究チームは、マイクロプラスチックによる健康への影響について研究を続けるよう呼びかけている。
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マイクロプラスチックとは、長さ5ミリ以下のプラスチック片のことで、世界中の河川や湖、水道水やボトル入り飲料水、一部の食品への混入が確認されている。
世界保健機関(WHO)は先月22日、マイクロプラスチックが混入した飲料水について、現状の検出レベルでは健康リスクはないとする報告書を公表した。
一方でWHOは、この研究結果は「限られた情報」に基づくもので、より大規模な研究を行う必要があるとしている。
ほかの研究で明らかになった、ボトル入り飲料水などに含まれるマイクロプラスチック量と比較して、今回ティーバッグから放出された量の多さに驚いたと、研究者のローラ・ヘルナンデス氏は言う。
過去の研究結果との不一致について、ヘルナンデス氏は、今回の研究では髪の毛1本の厚さ程度のマイクロプラスチックと、それよりも小さいナノプラスチックの両方を対象にしたことや、プラスチック製のティーバッグを常温の水ではなく「熱湯に直にさらした」ことが影響したのかもしれないとしている。
ヘルナンデス氏は、この研究結果は、プラスチック消費の削減に気を配っているような消費者にとって、自分たちが何を購入しているのかを自覚する機会になると指摘した。
「紅茶をプラスチックで包装する必要は本当にない。結局のところ、使い捨てのプラスチックごみになるのだから。あなた方がプラスチックを体内に取り込むことになるだけでなく、環境に負荷をかけることにもつながる」