小型風力発電でバードストライク
08月26日 08時44分
北海道の小型の風力発電所で、絶滅危惧種のオジロワシが回転する風車に衝突する瞬間が撮影されました。小型の風力発電所の建設計画は全国に7000か所以上で認定されるなど今後、大幅に増えることが予想されていて、専門家は貴重な鳥への影響を評価すべきだと指摘しています。
風力発電所の回転する風車に鳥が衝突するバードストライクは、出力が1万キロワット以上の規模の大きな風力発電所では環境アセスメントの中で影響の評価が求められていますが、それよりも小さい風力発電所では義務づけられていません。
徳島大学の研究グループは、日本海側の苫前町にある出力が20キロワットより小さい小型の風力発電所で調査したところ、絶滅危惧種のオジロワシが回転する風車に衝突する瞬間が撮影されました。
オジロワシは右側の翼の骨が砕け、道内の施設で保護されたということです。
小型の風力発電所の建設計画は全国でおよそ7500件認定されるなど今後、大幅に増加することが予想されていて、グループではワシやタカなどの貴重な鳥への影響を評価すべきだとしています。
調査を行った徳島大学の河口洋一准教授は「小型の風力発電所でのバードストライクはあると思われていたが実態はよく分かっておらず、評価や対策を考えることが必要だ」と話しています。
風力発電所でのバードストライクは比較的大きな風力発電所の建設が進む中、2010年ごろから問題となりました。
大きな風力発電所では高さが数10メートルから100メートル前後の風車が使われることが多く、タカやカモメなどが被害に遭うケースが相次いだため、環境省などは必要に応じて建設時の環境アセスメントでバードストライクの調査を求めるようになったほか、運転を開始した後も調査を行うよう求めてきました。
その後、2015年ごろから出力が20キロワットより小さい小型の風力発電所の建設計画が増えましたが、出力が1万キロワットを下回る風力発電所は、環境アセスメントの対象ではありません。
そのため、自治体はガイドラインなどで事業者が守るべきことを示していますが、環境アセスメントと同じ規模の調査は求めておらず、バードストライクが大きく問題視されることはありませんでした。
2014/04/16 に公開